破折ファイル除去
根管治療というのは、根の中にいる細菌を除去するもしくは死滅させることが最大の目的です。その時に使用するのが、下の写真の手用ファイル(左)、ニッケルチタンファイル(右)です。これらを上下に動かしたり、回転させたりして根の中を削り根管についている細菌を除去していきます。
しかしながら、このファイルというのは金属でできているので、何回も使ったり回転させすぎたりすると、金属疲労を起こし、根管内で折れてしまうことがあります。
これを「破折ファイル」と言います。
破折ファイルは、論文上では10%程度で問題が出ると言われてますので、問題が起きることは少ないです。よって、必ずしも取らないといけないわけではありません。しかし、破折ファイルの先に感染した部位があれば、取らなければ決して治りません。
なので取らないといけないわけですが、口で言うのは簡単ですが、破折ファイルの長さはわずか数ミリ、直径は1ミリ弱です。それが根の中に食い込んでいるので、当然、ほとんどのケースで、裸眼では直接見ることはできません。なので、最大裸眼の20倍の拡大でみることができるマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)が必須です。
そしてマイクロスコープを使うにはラバーダムは必須になります。また、破折ファイルを取るには、様々な器具が必要になります。
当然、その様な細く短い破折ファイルを取るので、下の写真の様な直径が0,1ミリ〜0、3ミリほどの非常に細い器具を使います。これらを、振動させて歯を少しだけ削り、破折ファイルを揺らして除去します。
赤丸の中の白い部分が破折ファイルです。これを先ほど述べた方法で取っていくのですが、
このケースはニッケルチタンファイルが折れてます。普通のファイルというのはステンレスなので振動を与えてもそんな簡単には折れないのですが、二ッケルチタンファイルは振動を強く与えるとそこだけ折れてしまうので、除去が非常に難しく、今回のケースでも2回途中で折れましたがなんとか除去しました。
こちらも赤丸の中に斜めに折れてる破折ファイルがあるのがわかると思います。
真っ直ぐで折れてるより、曲って折れてる方が当然除去は難しいですが、これも無事に除去することができました。
この2ケースは他医院からの除去依頼だったので、依頼を達成でき無事に紹介元に戻っていただくことが出来てよかったです。
もし、器具が折れていて除去することが出来ないから抜歯と言われた方がいらしゃいましたら、お力になれるかもしれませんので、一度井関デンタルオフィスにご連絡ください。